「酒好き医師が教える もっと!最高の飲み方」葉石かおり著 浅部伸一監修
「酒は百薬の長」という言葉を希望の光としている酒好きたちにとって、絶望的な論文が発表された。
2018年4月、世界的権威の医学雑誌「LANCET(ランセット)」は、死亡リスクを高めない飲酒量は純アルコール換算で週にわずか100グラムが上限だと報告。続いて同年8月には、「基本的に飲酒量はゼロがいい」と結論付けた論文を掲載したのだ。
とはいえ、今日から飲酒量をゼロにするというのもなかなか困難だろう。そこで本書では、酒好きの医師やソムリエ、食品メーカーの研究員たちが、健康を損なうことなく酒を一生の友とするための飲み方を提案している。
飲酒リスクで近年注目されているのが「糖化」で、体内の余分な糖がタンパク質と結びつき、タンパク質を変性・劣化させてしまう。臓器や血管など体を構成する重要な成分であるタンパク質の糖化は、内臓機能の低下や認知症などにも直結しかねない。加齢とともに糖化は進んでいくが、アルコールはさらに糖化リスクを高めるため、飲酒という負担がさまざまな疾患リスクを高めるわけだ。
しかし、糖化リスクに気を付けながら酒を楽しむこともできる。それは、糖化を抑える働きが期待できる酒を選ぶこと。ひとつは日本酒だ。日本酒は糖質を含むので意外と思うかもしれないが、1日1合程度に抑えれば、抗酸化作用により糖化の抑制が期待できるという。また、ポリフェノールが豊富な赤ワイン、樽由来のポリフェノールが含まれる樽熟成のウイスキーなどもいい。ただし、いずれも飲み過ぎないことが基本だ。
(日経BP 1400円+税)