「植物はなぜ毒があるのか」田中修、丹治邦和著
植物は動物に食べられる運命にある。ゆえに植物は食べ尽くされないように有毒な物質を作り自衛する。つまり、この世に生き残っている多くの植物は有毒な物質を持っていると考えた方がいいと著者は言う。一方で人間は、その毒を病気を治す薬などに役立ててもきた。本書は、植物が持つ毒と、植物と人間の共存・共生の関係を解説したサイエンスエッセー。
意外にも植物の毒による食中毒事故の患者数が一番多いのはジャガイモだという。他にもビワの種など有毒物質を持つ身近な植物の数々を紹介。さらに人間以外の生き物にとって毒となる植物や、漢方に使われるトリカブトやマラリアの治療薬の原料となる「クソニンジン」など植物から生まれた薬まで。植物が持つ無限のパワーの一端を紹介。
(幻冬舎 800円+税)