クリスマス用プレゼントブック特集
「クリスマスの殺人 クリスティー傑作選2022年版」 アガサ・クリスティー著 深町眞理子ほか訳
もうすぐクリスマス。大切なあの人に、本のプレゼントはいかが? 今回は、クリスマス気分を盛り上げるミステリー本、子どもへのプレゼント本、コーヒー好きに贈る本など5冊をご紹介!
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ミステリー界の女王とも言えるアガサ・クリスティーの作品の中から、クリスマスシーズンにぴったりの短編を厳選し、クリスマス仕様の装丁を箱入りで仕上げた、この時季のプレゼントの決定打がコレ。英国王室御用達の贈答品として有名なクリスティー作品なら、ミステリー好きはもちろん、未読者でも楽しめること請け合い。
収録されているのは、自伝から抜粋された「序」に始まり、「クリスマスの悲劇」や「クリスマスの冒険」など全13編。名探偵エルキュール・ポアロとアーサー・ヘイスティングズ、ミス・マープル、おしどり探偵トミーとタペンス、異国風の怪人物ハーリー・クィン、不幸解消請負人パーカー・パインなど、全シリーズのキャラを網羅している。
電子書籍やスマホでは味わえない、ぜいたくな時間をどうぞ。
(早川書房 3520円)
「フロイトの燃える少年の夢」 森泉岳土著
夢の中で故郷の横町を歩いている「わたし」は、記憶と異なる故郷の姿や行きかう人々の言葉に違和感を覚え、本当にここは自分の故郷なのだろうかという疑念にかられる。疲労と絶望に押しつぶされそうになるなか、「わたし」はやっと見つけた自分の生家の前に初恋の人が立っているのを見つけるのだが……。(ヘルマン・ヘッセの夢)
エミリー・ブロンテ、ヘルマン・ヘッセ、ヴァージニア・ウルフなどの作家たちが創作した夢を抽出した漫画本。水で描き、そこに墨を落とし、つまようじや割り箸を使って作画するという著者独自の手法が織りなす独特の浮遊感が心地よく、究極まで引き算した漫画から作家の持つ個性が立ち上ってくる。
今、世界で注目されている漫画家の本だからこそ、芸術好きのあの人に贈ってみてはいかが。
(河出書房新社 1650円)
「コーヒープラネット」 ラニ・キングストン著 和田侑子訳
コーヒーと一口に言っても、世界各地にその文化に根付いた多種多様なコーヒーが存在する。本書は、コーヒーがいかにして世界の人々の心を捉え、どのように各国の食文化の中に取り入れられていったかに克明に迫る、コーヒー再発見の書だ。
紹介されているのは、エチオピアのスパイス・バター・コーヒー、サフランやローズウオーターなどで香りづけされることの多いサウジアラビアの湾岸コーヒー、スペインのブランデー・コーヒー、韓国のダルゴナ・コーヒーなど。
奥深い世界のコーヒーについて、そのレシピや入れ方はもちろん、その背景に存在する文化的な意味合いなどまで解説。オールカラーの写真で、ぐるりと世界一周コーヒーの旅が味わえる。
コーヒー通の人へのクリスマスプレゼントに喜ばれそう。
(グラフィック社 2970円)
「フォンターネ 山小屋の生活」 パオロ・コニェッティ著 関口英子訳
ミラノでの生活に疲れ、仕事にも恋愛にも行き詰まった30歳の著者は、創作の泉が枯れて何も書けなくなってしまったことに気づいた。
虚無感から抜け出すべく、まだ雪残る渓谷に山小屋を見つけ、そこでひとりで過ごすことを決心する。山に親しんでいた幼い頃の懐かしい自分に戻るような気持ちで山に入った著者は、五感を全開にして自然との生活に親しんでいく。
放牧されている牛や牧羊犬との交流、時折訪れる珍客、恐ろしいほど眠れなくなる真っ暗な夜の時間、とっておきのワインを楽しむひとときなどを経て、著者は少しずつ自分を取り戻していくのだが……。
本書は、「帰れない山」で世界的ベストセラー作家になった著者による自分再発見の書。都会の喧騒から離れて思索の時間を楽しみたい大人世代にお薦めだ。
(新潮社 1980円)