「血統と戦績で読む伝説の名馬図鑑」江面弘也監修、マイストリート編
かつて日本の競馬界は、1958年のハクチカラによる戦後初めての海外遠征以降、海外のGⅠレースに挑むも、その厚い壁にはね返されてきた。欧米のレースで惨敗を繰り返し、「日本は種牡馬の墓場」とまでいわれる時代があったという。しかし、98年の初制覇以来、2022年10月末までに海外GⅠ制覇は41頭52勝に及び、わずか40年で日本から世界中を驚かせる名馬が続々と誕生している。
本書は、戦後初めて海外遠征を果たしたハクチカラに始まり、昨年のドバイシーマクラシックで優勝したシャフリヤールまで、海外GⅠレースの勝利馬を中心に92頭を紹介する名馬図鑑。
海外初挑戦に選ばれたハクチカラは1956年にダービー馬となり、57年秋には天皇賞と有馬記念を連勝した名実ともに当時の日本最強馬だった。翌年、競馬先進国のアメリカに遠征したが、ダート戦の初戦と2戦目は最下位に沈む。
それでも受け入れ先のアメリカ人調教師の助言で遠征続行となり、59年のワシントンバースデーハンデという重賞で勝利。日本馬初の海外重賞制覇を成し遂げる。
続くスピードシンボリは古馬になってから本領発揮し、69年に凱旋門賞にエントリーする。これが現在まで続く日本馬の凱旋門賞挑戦の第一歩となった。
以降、シンザンやハイセイコーなどの有名馬から、98年にフランスのモーリスドゲスト賞で初めて海外GⅠを制覇したシーキングザパールや、キタサンブラック、アーモンドアイ、そして現役のソダシなど。
名馬がターフで繰り広げたドラマを再現。それぞれの軌跡やデータ、各馬の血統がわかる種牡馬系統図まで網羅した、これから競馬を始めようという人にもお薦めの一冊。 (イースト・プレス 2640円)