「ぎょらん」町田そのこ著
「ぎょらん」町田そのこ著
華子が4年前から交際する恋人が事故死。彼には妻子がいたが、華子を愛してくれていた。
しかし、通夜の席で華子は知りたくなかった事実を知ってしまった。帰宅後、自室で泣いていると、ひきこもりの兄・朱鷺が勝手に入ってきた。兄は妹が不倫をしていることを知っていた。
朱鷺はかつて漫画で読んだという、死者が死の間際に強く願ったことが小さな赤い珠になってこの世に残るという話を始める。
その珠はイクラに似ているからぎょらんと呼ばれているらしい。それを見つけて噛めば死者の願いを共有できるそうだ。実は朱鷺はぎょらんを口にしたことがあるという。
華子は朱鷺に連れられ、恋人が事故死した現場にぎょらんを探しに向かう。
死者が残す「ぎょらん」を巡る連作集。
(新潮社 935円)