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「生成AI 『ChatGPT』を支える技術はどのようにビジネスを変え、人間の創造性を揺るがすのか?」小林雅一著

 登場から、あっという間に身近になってきた生成AI。それって一体なに?

「生成AI 『ChatGPT』を支える技術はどのようにビジネスを変え、人間の創造性を揺るがすのか?」小林雅一著

 長い書名が本書の中身をほぼ言い尽くしている。生成AI本は多くがその紹介だけで終わっている観があるのだが、本書は社会とビジネスへの影響を具体的に語っているところが持ち味。

 たとえば真っ先に反応したのが学校。生徒たちの作文の宿題などはチャットGPTが難なくこなしてしまう。それどころか大学院の博士論文までそれらしいものを仕上げる能力があるため、大学教授たちは戦々恐々としている。生成AIに書かせた論文を果たして見破ることができるのかと大騒ぎなのだ。

 企業でもゴールドマン・サックスなどは従業員の利用を制限し、通信会社のベライゾンは仕事での利用を禁止。顧客情報の保護が理由だ。また韓国のサムスンも迷ったあげく対話型AIの社内利用を禁止。ここにデータを入力すると自社の情報がAI事業者のサーバーに保存されてしまうからだ。オープンAI社はチャットGPTを通じて入ったデータはソフトの改良用の機械学習には使わないと明言しているが、絶対安全と言い切れないのがネット時代だ。

 著者は海外で新聞社勤務の経験を持つ情報セキュリティーの専門家。新しい時代の到来をわかりやすく解説している。 (ダイヤモンド社 1980円)

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