「人生の道しるべ」宮本輝、吉本ばなな著
「人生の道しるべ」宮本輝、吉本ばなな著
人気作家2人による対談集。
宮本氏は、柳田国男がかつて田山花袋に語った「文学というのは、自分の小さな庭で丹精して育てた花を、一輪、一輪、道行く人に差し上げる仕事なのではないか」という言葉が小説を書き始めた当初からずっと頭にあり、「現実世界は、理不尽で大変なことばかりだからこそ、せめて小説の世界では、心根のきれいな人々を書きたい」と心がけてきたという。それは作風は異なれど、書き手の心構えとして、ばなな氏とも通底するはずだと。
一方のばなな氏は「結局のところ私は、人が変わる瞬間、選択する瞬間みたいなものをずっと描いている」といえると自作を分析。そんな創作についての話から家族観や死生観まで世代を超えて深く語り合う。 (集英社 605円)