「飛脚は何を運んだのか」巻島隆著

公開日: 更新日:

「飛脚は何を運んだのか」巻島隆著

 江戸後期の売れっ子作家、曲亭馬琴が大坂の版元と新作の「すり本」(ゲラ)をやりとりするなど、頻繁に飛脚を利用していた記録が残っている。明治時代に郵便制度が導入される以前、飛脚ネットワークは全国につながる街道や江戸市中に張り巡らされていたという。

 手紙や荷物を運ぶ飛脚の起源は平安時代末期まで遡り、ビジネス化したのは江戸時代だった。

 利用層は武士だけにとどまらず商人や村名主へと拡大。産地の特産物を輸送し、遠隔地間でも現金を動かさずに決済を可能にする為替手形を扱い、商取引のための現金も運んだ。さらに現金を扱うため預金や融資の金融機能も担っていたという。さらに、災害の際には災害情報を届ける役割もボランティアで担っていた。

 江戸の流通を支えた飛脚の全貌に迫る歴史本。 (筑摩書房 1430円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    俳優・山口馬木也さん「藤田まことさんは『飲め、飲め』と息子のようにかわいがってくれた」

  2. 2

    前代未聞の壮絶不倫・当事者のひとりがまたも“謎の欠場”…関係者が語った「心配な変化」とは???

  3. 3

    テレ朝ナスD“経費横領&パワハラ処分”に「見せしめ」の声も…家族団らん投稿の美人料理家妻に同情集まる

  4. 4

    自信なくされたら困るから? 巨人・田中将大がカブス戦登板「緊急回避」の裏側

  5. 5

    東原亜希の“黒帯バスローブ密会”乗り越えた「許す力」は佐々木希以上? 経済的自立も目指す強心臓とたくましさ

  1. 6

    料理研究家の森崎友紀 “本業”専念も恋愛は「年も年なので」

  2. 7

    兵庫県パワハラ知事に残った選択肢は「議会解散」のみ…多数派工作で延命図るか?味方は“情報漏洩3人組”のみ

  3. 8

    あす旧統一教会に解散命令か? N国党に急接近の不気味、タダでは転ばない悪あがき

  4. 9

    巨人の“アキレス腱”は絶対的セットアッパーが使えないこと…新助っ人キャベッジで外国人枠「満員」

  5. 10

    佐々木希が「芸能人格付けチェック」で"地雷キャラ"といじられ…夫・渡部建を捨てないもう1つの理由