室井滋<中>マージャンでの“暴言”が週刊誌連載のきっかけに
「正式な返事をする前日に、当時の平尾隆弘編集長(のちの文芸春秋社長)や編集部の方々と、大好きなマージャンをすることになったんです。あちらにしてみれば接待マージャンなわけですが、皆さん、お世辞にも上手とはいえなくて……。それでマージャンをやっているそばから『ああ、マージャンがやりたい』なんて、この口がこぼしてしまい、申し訳なく思ったんです。おいしいものをごちそうにもなっていましたしね。かれこれ12年、続けさせていただきました(笑い)」
原稿は寝る間も惜しんで書いたという。ときには湯船に板を張ってその上で執筆したことも。
「撮影は今も昔も楽しい共同作業ですが、書くことは私が私でいられるように自分自身と向き合う時間でもある。写経のようなものなのかもしれませんね」
書くことだけではない。存在感は声でも発揮している。03年公開の映画「ファインディング・ニモ」でヒロインのドリーの声優を務め、続編「ファインディング・ドリー」(16年)では主演を務めた。もともと朗読するのが好きで、「お金がなかった若い頃は、友人の出産祝いの代わりに赤ちゃんの読み聞かせ用のテープを作製して贈ったこともある」と振り返る。