町山智浩<後編>「右派に偏り第2次世界大戦前の状況に…」
突撃取材中に副流煙でラリった、ラリー町山氏は、映画から広くアメリカ文化・社会を論ずるコラムニストで、真面目でインテリな部分もある。
1962年東京生まれ。早稲田大学法学部卒。JICC出版(現:宝島社)に入社。「映画宝島」編集部で社長と喧嘩し、子会社である洋泉社で起死回生の「映画秘宝」を創刊。その後記事の誤りを指摘して来た「キネマ旬報」編集部にシェービングクリーム付きのパイを持って乱入(間違っていたのは「キネ旬」だった)。町山さんは責任をとって依願退職し、妻の留学に伴って家族で渡米した。
私が最初に読んだ町山さんの本は「<映画の見方>がわかる本」(洋泉社)だった。ある種の名作映画は今でも鑑賞に堪え、とても深く複数のメッセージを持っている。
この本は膨大な資料を読み解きながら「映画に隠された秘密」を解読してゆく画期的な本だった。多くの英文映画資料を読み込んでいる町山氏の独壇場だった。
町山さんはジブリ作品の解説も書いていた。スタジオジブリの宮崎駿監督が2013年「風立ちぬ」公開の後、一度引退声明を出し、2014年「宮崎駿作品集」がDVDボックスで販売された。その全作品の解説文を任されたのだ。わざわざアメリカから日本に来た町山さんは「全ての作品を出来るだけ良い状態でもう一度見たい」ということで東小金井のスタジオジブリに通い、見事な解説文を書いた。映画に関して町山さんはこんな妥協を許さぬ面もある。