コミカルとアクション描写が調和した岡田准一の新境地
岡田准一の俳優としての凄さを再認識した。興収20億円以上も視野に入ったヒット中の「ザ・ファブル」の演技である。都市伝説に登場するような凄腕の殺し屋を演じた。ある理由があって、ボスから普通の生活をするよう指示され、大阪のヤクザ組織の世話になる。殺しは、ご法度だ。
往年のヤクザ映画のような筋書きが、本作の魅力を一段と引き立たせた。岡田の役が、組にわらじを脱ぐものの、いざこざに巻き込まれる凄腕の一匹狼の渡世人のように見えた。
結局、彼もまたヤクザのもめごとにかかわってしまうが、これぞヤクザ映画のルーティンである。
可愛い絵を描く。魚を頭から食べ、枝豆を皮ごと口に入れる。部屋では素っ裸といった具合に、岡田はコミカルな側面でいい味を出した。とぼけた日常と、卓越した銃さばきなど苛烈なアクション描写双方が、全く違和感なくまざり合っている。岡田の新境地だろう。
ヤクザや殺し屋を演じる柳楽優弥、安田顕、向井理、福士蒼汰、そして佐藤浩市らのド迫力の演技にも拍手を送りたい。