二兎社「私たちは何も知らない」時代に抗した女性群像劇
短いシーンの積み重ねによる舞台運びのテンポのよさもあり、世間のバッシングに遭いながらも自分の信念を貫いた女性たちの生き方がビビッドに描かれた。
朝倉あきは奔放自由さと社会と真摯に向き合うらいてうを好演。フェミニズム運動が現代と通底していることを象徴するかのように衣装はファッショナブル。藤野涼子は初舞台ながら、堂々たる演技で舞台を引っ張った。
旧弊な社会に異議申し立てをした女たちも、やがて旧来の結婚制度に取り込まれたり、第2次世界大戦では戦争協力することになる。その矛盾、葛藤を含めた彼女たちへの共感と同時に、セクハラ、シングルマザー問題など、今も青鞜の時代と変わらない女性たちへの「差別」とその根源である「戦争をしたがる男たちの社会」への怒りを込めた幕切れ。改憲に向かって突き進む日本に対する作者の危機感がひしひしと伝わってきた。
22日まで池袋・東京芸術劇場シアターウエスト。28日は亀戸文化センター・カメリアホール。来年1月から全国巡演。
★★★★