「スペース・プレイヤーズ」は新旧WB祭り!お馴染みのキャラクターが映画ファンを増やす心理
見慣れた芸能人に親近感を持つように、実際に会わずとも広告やメディアなどで何度も目にしている人物に対して人は親しみを覚えます。これを心理学では「単純接触効果」と言うのですが、その頂点に立つのがミッキーマウスやムーミン、スヌーピーなどであり、“キャラクターの商品化”へと繋がっていきます。そんなキャラクターへの親近感から予告編でも話題となった映画『スペース・プレイヤーズ』が8月27日から公開中です。
■ワーナー・ブラザース祭り? 夢のスポーツエンターテイメント『スペース・プレイヤーズ』
主要キャラクターは、配給会社ワーナー・ブラザース映画が1930年から生み出したアニメ『ルーニー・テューンズ』のメンバーです。バッグス・バニーやトゥイーティーの他に、DCコミックスの『スーパーマン』や『ワンダーウーマン』、『ジョーカー』、さらには『キングコング』『アイアン・ジャイアント』『IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』のペニーワイズ他、バラエティーに富んだ新旧のワーナー・ブラザース作品のキャラクターが登場。そこに加えて主演はバスケットボール界のキング、レブロン・ジェームズがほぼ本人と言っても過言ではない同姓同名の主人公を演じているリアリズムを、実写とアニメーションの融合で味わえる映画になっています。
実写とアニメーションの融合
物語は、NBAのスーパースター“レブロン”が、息子との関係を修復しようとする中で、ワーナー・ブラザースのサーバーを仕切る邪悪なアルゴリズムこと“アル・G・リズム”の策略により、突如、バーチャルワールドに吸い込まれてしまいます。そこで人気キャラクターたちと出会い、彼らと共にバスケのe-スポーツバトルに挑戦するというスポーツエンターテイメント。すでに気付かれた方もいらっしゃるかもしれませんが、実は1997年に日本公開された、実写アニメ映画『スペース・ジャム』(1996)を見て夢中になったレブロン・ジェームズの参加が決定したことで本作の映画化が実現。『スペース・ジャム』は、伝説の選手マイケル・ジョーダンが、ルーニー・テューンズと共に宇宙人チームを相手にバスケの試合をする物語で、ジョーダンの他にも本物のバスケットボール選手たちが出演し、人気ミュージシャンが多数参加したサウンドトラックも話題になりました。
ヒットの鍵は“大集合”と“ゲーム世界”
確かに尊敬するスターや馴染みのあるキャラクターが登場する映画は、それまで映画館にあまり足を運ばなかった人たちへの呼び水になります。実際に、同じワーナー・ブラザース配給による2018年に公開されたスティーブン・スピルバーグ監督の『レディ・プレイヤー1』には、世界の有名キャラクター以外にもハローキティや機動戦士ガンダム、メカゴジラ、『AKIRA』の金田バイクなども登場し、日本でも大ヒットを記録。それはキャラクターを多く所有するディズニー映画でも実証されていて、『シュガー・ラッシュ』(2012)の続編として2018年に公開されたアニメーション『シュガー・ラッシュ:オンライン』には、ディズニープリンセスが大集合、その他、『スター・ウォーズ』キャラクターなどの登場により、前作を上回る興行収入を記録しています。
さらに現在大ヒット公開中のディズニー配給によるライアン・レイノルズ主演の『フリー・ガイ』にも、マーベル・スタジオ製作の映画『キャプテン・アメリカ』や『ハルク』、『スター・ウォーズ』のパロディ他、ライアン・レイノルズと交流のある有名俳優たちがカメオ出演しています。
しかもどの作品もゲームの世界が舞台となる偶然の一致。それって今や全世界、ゲーム時代だからなのか? いや、ゲームの世界という非現実空間だからこそ、活躍の場が違う人気キャラクターを集結しやすいということなのでしょうか? なんにせよ、親近感あるキャラクターたちが活躍する非現実世界での大冒険は、彼らが登場するだけで胸躍り、世代を超えて不安だらけの現実を安心して忘れられる極上の体験となるのです。