映画は「作家の芸能」であり「芸術」 コンビニの棚に並ぶ商品であってはならない
まともな戦争モノが見たくなってR・バートンと若きC・イーストウッドの「荒鷲の要塞」(68年)も見た。ナチスをやっつけまくる痛快作で時を忘れた。映画は時を忘れるものだ。
「ドライブ・マイ・カー」(2021年)は暇つぶしにもならない拷問だった。口直しに見たのはアル・パチーノの「スカーフェイス」(1984年)。フィルムノワールの絶品だ。ついでにモノクロの仏映画、「現金に手を出すな」(55年)もギャングのはかなさと愚かさが詰まっていた。
夏になり、ウクライナが降参して停戦するかと思っていたら反撃しだしたので余計に気が重くなり、ベトナム戦争帰還兵モノの「タクシードライバー」(76年)や「ローリング・サンダー」(78年)や「ダーティハリー」(72年)まで無性に見てしまった。戦場後遺症の元兵士や殺人狂がアメリカの暗部をさらけ出していた。
日本の今をさらけ出す映画など何一つないのは本当に情けないことだ。でも、ロシアでもウクライナでも兵士の後遺症が激増してるはずだし、そのうち犯罪も増えるんだろうなと思った。