淡谷のり子さんの辛辣なダメ出しがあったから 清水アキラの芸は磨かれた
「『面白けりゃ勝ち』という時代。『本人怒らないの?』というのは二の次だった」(光文社「FLASH」2019年6月11日号)というように、五木ひろしの「よこはま・たそがれ」を「ヨコハメ タテハメ」と卑猥な歌詞で歌い、橋幸夫の「恋のメキシカン・ロック」では、なぜかスクール水着を着て歌った。
「この人崩しちゃったらどうなるんだろうって考えてたら、水着が出てきた。橋幸夫さんに『何で俺水着なの?』と言われたけど、俺もよくわからないんですよ(笑)」(徳間書店「アサ芸プラス」12年11月29日)
代名詞となる「セロテープ芸」は、ネタがなくて焦っている時期に遊びの延長から生まれた。営業先の楽屋にセロテープが置いてあり、それを顔に貼って遊んでいたら「研ナオコさんに似ているんじゃないか」とマネジャーが言ったのだ(同前)。テレビ初披露のときは体が震えたという。
その1989年3月、研ナオコの「夏をあきらめて」のものまねで、淡谷のり子を笑わすことに成功。淡谷も「10点」をつけ、ついに100点満点を獲得し、清水は泣き崩れた。淡谷は「真面目にやればできるじゃない」とコメントしたが、「ぜんぜん真面目じゃない」と清水は笑った上でこう胸を張るのだ。
「ただね、淡谷さんが辛辣に駄目出ししてくれたから、芸が磨かれた。(略)演出家や作曲家、歌手など、ものまねを知らない人が評価してこそ、価値がある」(「FLASH」=前出)