著者のコラム一覧
荒木経惟写真家

1940年、東京生まれ。千葉大工学部卒。電通を経て、72年にフリーの写真家となる。国内外で多数の個展を開催。2008年、オーストリア政府から最高位の「科学・芸術勲章」を叙勲。写真集・著作は550冊以上。近著に傘寿記念の書籍「荒木経惟、写真に生きる。荒木経惟、写真に生きる。 (撮影・野村佐紀子)

<106>草間彌生さん(1)名作!おちんちん切ってくれって言ったらやってくれたんだよ

公開日: 更新日:

 草間彌生さん、これまでに何度も撮影してるんだよね(草間彌生は1929年長野県松本市生まれの前衛芸術家。世界各地の美術館で大規模な個展を開催。2016年「世界で最も影響力がある100人」(米誌『タイム』)に選出、同年に文化勲章受章)。

 一番最初に撮ったのが、この写真だよ(①)。その頃、(新宿区)河田町にあったフジテレビギャラリーの個展(1986年)を見に行って撮ったんだ。このオブジェが好きでね。あの頃、立体をいっぱい作っていただろ。今は平面が多いよね。ホラッ、いっぱいくっついてて、わぁ~って増殖してるだろ。植えつけたのが、わぁ~と増殖してくるようなね、種を蒔いて植え付けたのが増殖するような感じがするよね。立体がいっぱいあったけど、これが一番好きなんだよ。草間さん、美人に写っているじゃないか。草間さんにぴったりだろ。これ自体に見えるじゃない。ここにいるっていうか、これ自体に見える。それと、無意識的に色の構成とかさ、あってるよね(笑)。

草間さん、かわいい

 この写真(②③)、懐かしいなぁ~。草間さん、かわいいねぇ~。これ、どこだったかなぁ。おっ、オレ、日記に書いてるね(『包茎亭日乗』)。オレの事務所が早稲田で草間さんが住んでいるところも近いんだよね。二人とも若いよなぁ。これ、いいよなぁ~。

「4月15日 草間彌生サンと早稲田弁天町の多聞院に。松井須磨子と島村抱月の比翼塚を見て漱石公園(夏目漱石終焉の地)に。猫塚の前で記念写真、ブランコに乗った、昼下がりのデート」(『包茎亭日乗:アラーキーの愛とエロスと偽りの写真実2628日記』〔1994年刊〕より)

海外ですごく人気のある写真なんだよ

 これは名作ですよ(④)。海外ですごく人気のある写真なんだよ。アーティストだからね。オレの解釈で、草間さんの作品のハイヒールにおちんちんが乗っているのが好きだからさ、どうしてもおちんちん嫌いか何かあるんだろうなぁと思って、おちんちん切ってくれって言ったら、やってくれたんだよ。何か恨みがあるのかなぁと、ちょっとやってくれないか、切っちゃおうと言ったら、のってくれたんだよね。

(構成=内田真由美)

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