「睡眠時無呼吸症候群」で有効のはずが “ASVマスク”の危険度
この結果を受け、米国睡眠学会などは「左室収縮機能が低下(左室駆出率45%以下)した慢性心不全かつ中枢性睡眠時無呼吸の患者に対してASV使用を制限する」と提言。日本循環器学会と日本心不全学会も、同様の患者へのASV使用を「慎重に検討すべき」と発表している。
東邦大学医療センター佐倉病院循環器科の東丸貴信教授は言う。
「中枢性無呼吸は、呼吸筋を休めて肺容量や気道内圧を増加させ、交感神経を鎮めて心不全を改善させようとする作用もあります。心臓の動きが悪いタイプの心不全患者がASVを使うと、この作用を弱めてしまう可能性があるのです。また、気道内圧が不適切に上がると、心機能が傷害される可能性も考えられます。心臓の動きが比較的良い患者さんでは問題ないようですが、重症心不全の一部の患者さんは注意が必要です」
患者が機械をしっかり使えていなかったケースや、ASVを使ったグループは不整脈が多かったことから、ASVで心機能が改善して行動が活発になり、逆に不整脈などを招いてしまった可能性も考えられている。