従来の常識ガラリ 「進行肺がん」の生存期間延ばす最新治療
もうひとつのトピックは、「免疫チェックポイント阻害剤」だ。体にはがん細胞を攻撃する免疫細胞があるが、この働きを止める“ブレーキ”を外す薬を使った治療である。現在、肺がんへの承認が待たれている状態だ。
「これまで免疫療法は、がんを特異的に攻撃する免疫細胞を活性化させる、もしくはそれらを増やすことに主眼が置かれていましたが、肺がんに対しては効果がありませんでした。それは、“免疫細胞の働きを止めるブレーキ”に原因があった可能性があります」
そのため、免疫チェックポイント阻害剤の効果は期待できる。実際、抗がん剤治療の後の再発肺がん患者に対して免疫チェックポイント阻害剤を使うと、生存期間が延びたことが報告されている。
「ただし、副作用もあるので慎重に使うことが重要です」
肺がんは、残念ながら進行がんでは「完治」は難しい。しかし、“いい状態”で長生きできる選択肢が出てきたのだ。
▽非小細胞肺がんとは
肺がんには、小細胞がんと非小細胞がんの2つの組織型がある。非小細胞がんはさらに扁平上皮がん、腺がん、大細胞がんに分かれ、扁平上皮がんは喫煙がリスクを上げ、それ以外は喫煙と必ずしも関係していない。