普通の人の10倍 睡眠時無呼吸症候群が招く“緑内障リスク”
寝ている間に呼吸が止まる――。睡眠時無呼吸症候群(SAS)は日本の潜在患者数が300万人を超える国民病だ。糖尿病や脳卒中、高血圧などの合併症が有名で、一般の人に比べて交通事故の発生リスクを7倍にアップさせることが知られている。ところが、SASは目の病気の発症リスクを高めることは意外に知られていない。日本人の失明リスク第1位である「緑内障」の発症リスクを10倍アップさせるというから恐ろしい。
「SASが招く目の症状には、眼精疲労、柔らかい眼瞼症候群、糖尿病網膜症、非動脈炎性前部虚血性視神経症(NAION)、正常眼圧緑内障の発症などがあります」
こう言うのは、日本眼科学会眼科専門医で、清澤眼科医院(東京・江東区)の清澤源弘院長だ。実際、SASの患者の5~10%は柔らかい眼瞼症候群があり、柔らかい眼瞼症候群の96%にSASがあるとの研究報告がある。また、糖尿病網膜症の一歩手前である増殖網膜症や、痛みを伴わない突然の視野狭窄、視力低下を起こすNAIONも多いとの発表もある。
SASは気道の空気の流れが10秒以上止まった状態を無呼吸として、一晩30回以上もしくは1時間当たり5回以上無呼吸があった状態をいう。