筋力低下でがん死亡率上昇 「サルコペニア」をどう避ける
■手術後の合併症や抗がん剤副作用リスクを避ける
筋肉量が減れば、立ったり歩いたり、食べ物を噛み砕いてのみ込んだり、呼吸をする能力さえも低下し、衰弱に拍車がかかる。
しかも、抗がん剤の副作用も強く出る可能性がある。
「胃がん、大腸がん、食道がん、乳がんなどに使われる代表的な抗がん剤に5―FUがあります。細胞の遺伝情報を持つDNAやRNAの合成をジャマしてがん細胞を死滅させる薬です。最近の研究で5-FUの代謝に腎臓や肝臓だけでなく筋肉が関わっていることがわかってきました。サルコペニアのがん患者さんは、抗がん剤に伴う有害事象の発生頻度が高いとの報告もみられます」
食道がんや乳がんは、抗がん剤でがんを縮小させた後で手術する「術前補助化学療法」が行われる。
その際、サルコペニアがあると、抗がん剤の副作用が強く出るだけではなく、手術後に感染症をはじめ、さまざまな合併症のリスクが高くなる可能性がある。
では、それを避けるには普段から何に気をつけたら良いのか?