<3>排泄の失敗が増え…とうとう紙パンツをはかせることに
転倒する頻度もさることながら排泄の失敗も増えた。小便はもちろんのこと、大便もだ。その処理をするのはすべて母。ある日、大便を漏らした父。母によれば「羞恥心や罪悪感は一切なく、ヘラヘラと笑っていた」。2015年末のことだ。
この頃から、千葉の実家のトイレが公衆便所のようなニオイになった。便器外にはみ出た尿を吸うパッドや消臭マットを使うも追いつかず。おまけに歯を磨けていないせいか、口臭も激化していく父。老化とはこういうものだと改めて痛感した。
そして、とうとう紙パンツをはかせることに。要はオムツだが、介護の場合は紙パンツと呼ぶ。介護される側のプライドを保つためだとか。父も初めは嫌がったが、ここで活躍したのが姉である。姉は自ら紙パンツをはき、「うわー、これ快適だわぁ」と父に勧めた。
父は姉が大好きだ。姉は父が生まれた土地に建てた別荘(小屋だけど)に1人で住んでいる。千葉の奥地で猿やイノシシが出るド田舎なのだが、父方の墓地の真ん前だ。姉を墓守娘と信頼しているのだろう。車で2時間かかる奥地から実家に駆けつけた姉が、父の尊厳を傷つけずにうまく勧めてくれたので素直にはいてくれたのだ。