<7>歌うことは「のみ込む筋肉」を鍛えることにつながる
「声帯は声を出す以外に気管のふたの役割も果たしています。加齢で声帯がやせるということは、本来は食道を通るべき食べ物が誤って気管に侵入し、誤嚥する可能性が高まるということです」
では、声帯をやせさせないためにはどうすればいいのか?
一番いいのは歌を歌うことだという。本来、声を出すために使う筋肉と、食べ物をのみ込む筋肉は同じものが多い。大声で歌うことは、知らず知らずのうちに食べ物をのみ込む力を鍛えることにつながるのだという。
「特に上手に歌おうとして自然と前かがみの姿勢に陥る人が多い。むしろ、かかとに体重を乗せて背筋を伸ばすだけで、肺活量や姿勢を維持するためのお腹回りの筋力が向上する。後者の姿勢で歌うと横隔膜をよく動かすことになり、胃腸を刺激してお腹がグーグー音を出して動きだすことがあります。胃腸にもいいようです」
歌うことは若い人、子供にとっても大事なことだと萩野院長は言う。
「今の子供は学校健診でも口を大きく開けられず、大きな声も出せない。あごが小さいこともあるが、喉の筋肉が子供のころから弱っているのは、将来の誤嚥につながるのではないか、と心配です」