次の医学賞候補が開発 15人中7人のがんが消えた光免疫療法
この治療のベースとなったマウスでの研究結果は2011年に米科学誌「ネイチャー・メディシン」で発表された。がんを患ったマウスは、8割が完治したばかりか、副作用ゼロ。驚愕の成果を受けて、NIH(国立衛生研究所)がホワイトハウスに報告したことで、発表からわずか3カ月で一般教書演説のテーマになる。
小林医師の計画では、頭頚部がんの次は、肺がんや大腸がん、前立腺がん、乳がん、膵臓がんなどでの応用が検討されている。全身のがんの8~9割が光免疫療法でカバーされるという。
■米ベンチャーに楽天・三木谷会長が支援
まさに“夢の治療法”を米国が見放すことはなく、治療の実用化は米ベンチャーのアスピリアン・セラピューティクス社が担当する。そこに億単位の支援を行っているのが、楽天の三木谷浩史会長だ。企業にとっては“ドル箱”で、小林医師の計画通りなら、資金回収は秒読みか。
関西の名門・灘高から京大医学部に進学。1987年に卒業すると、放射線科医としてがん患者を診察するようになった。手術は肉体的な負担が重く、放射線や抗がん剤は少なからず副作用がある。そんなことから、「がん細胞だけを攻撃する治療法」を考えたという。