最期まで自分らしく生きる がんの緩和的放射線療法とは
先月15日に亡くなった女優・樹木希林さんの死に際をうらやましく思うシニア世代も多いはずだ。全身がんを患いながら、生活の質を下げかねない手術や治療を拒否し、最期まで女優と家庭のことを全うした。現在、がんで苦しんでいる人の中には「56年ぶりに日本で行われる東京五輪は見てから死にたい」という人も多いだろう。そこで注目したいのががんの緩和的放射線療法だ。痛みや呼吸困難などの症状を緩和し、生活の質を維持するのを目的とした治療法だ。どんなものか? 「JCHO東京新宿メディカルセンター」(東京・飯田橋)放射線治療科の黒﨑弘正部長に聞いた。
放射線治療は目的により3つに大別できる。根治的放射線治療、補助的放射線治療、緩和的放射線治療だ。
根治的放射線治療は、放射線治療でがんを撲滅することが目的で、早期の咽頭がんや上咽頭がん、前立腺がんは放射線治療だけで根治が可能といわれている。
最近は、抗がん剤と組み合わせたり、免疫チェックポイント阻害剤との併用がトレンドだ。
補助的放射線治療とは手術の前後に行うもので、最も有名なのは乳房温存療法後の放射線治療照射だ。かつては5週間ワンクールとされたものの、最近では3週間でもあまり変わりがないとされている。