高濃度日の翌日は死亡率3%増「PM2.5」の誤解と真実
米国6都市での研究ではPM2.5の平均濃度が25μg/立方メートル増えると、あらゆる原因による翌日の死亡率が3.0%増えたと報告されている。
米国50州で30万人の成人を対象にしたコホート研究での報告では、PM2・5が25μg/立方メートル増えると全死亡率は10%、心肺疾患死亡率は16%、肺がん死亡率は21%増加したという。日本でも同様の報告が複数なされており、PM2.5の濃度の上昇と死亡率とは一貫性があることが明らかだ。
■韓国での濃度が高いと日本も危ない?
「中国からの大気汚染物質の影響を受けやすく、ディーゼル自動車の排ガスや火力発電所の排煙などから発生するPM2.5が多い韓国では深刻な状況です。しかし、大陸からのPM2.5は日本海に落ちるものもあり、日本に到達するものはそれほど多くはありません。公害の反省から、日本の大気汚染規制は厳しいこともあって、日本ではそれほど心配する必要はありません」
■少しでも吸い込むと病気になる?
「工場の排煙や自動車の排ガス、鉱山の粉じんなど人為由来のものをイメージしがちですが、黄砂や海塩、火山灰など自然由来のものも多く、地球で生存していればPM2.5を吸わずに暮らせません。問題はその量です」 日本の大気環境基準は年平均値が15μg/立方メートル以下で、かつ1時間値が35μg/立方メートル以下である。WHOは年平均で10μg/立方メートルで、かつ24時間平均で25μg/立方メートルとなっている。日本では環境基準とは別に注意喚起基準を設けており、1日平均値が70μg/立方メートルを超えると「不要不急の外出や屋外での長時間の激しい運動をできるだけ減らす」よう注意を促している。