「私は治します」スキルス胃がんと闘う妻は毅然と答えた
さっそく行われた胃内視鏡検査では胃の襞が太くなっていて、バリウムによる胃エックス線検査では胃の出口のところが狭く細くなっていました。典型的なスキルス胃がんでした。さらに、CT検査で腹水を認めたことから、「がん性腹膜炎で手術は困難」と判断されました。
その際、スキルス胃がんの特徴として「がんが胃粘膜の下に潜って進展し、その初期では胃内視鏡で見逃されることがある」と説明されました。Rさんと夫はとても落胆し、「大学病院なのにどうしてあの時、診断できなかったのか」と納得できませんでした。
Rさんは食事が取れない状態だったため、入院して中心静脈から高カロリー輸液を行い、体力を回復しながら抗がん剤治療を始めることになりました。
「会社でこれまであんなに頑張ってきたのに、そして今まさに花咲こうとしているのに……私には神様はいないのかしら?」
「がんを見つけるのが遅くなり、こんな状態になってしまって、私の人生は何だったのだろう」
RさんはベテランのE看護師にそう話したそうです。