「私は治します」スキルス胃がんと闘う妻は毅然と答えた
■愛猫の話題に初めて笑顔を見せた
4週間ほどの治療で上腹部の痛みなどはなくなり、次第に食事は取れるようになってきました。抗がん剤による副作用はほとんどなく、体調が良くなったある日、自宅へ1泊外泊しました。そして病院に戻ってきたRさんは、E看護師に初めて笑顔を見せ、次のように話されたといいます。
「猫のミーちゃんは元気だった。私からずっと離れなかった。私を忘れないでいてくれて安心した。ちゃんと自分でドアを開けて、猫専用のトイレに行くのよ。私、元気出して頑張らなくては、ね!」
治療を開始してから6週後の胃内視鏡検査では、胃の異常に太い襞が元に戻り、狭くなっていた出口のところは改善していました。食事は全量摂取できるようになり、体重も回復。入院8週後には中心静脈カテーテルは抜去されて退院となり、以後は外来で通院治療することになったのです。
退院の日、Rさんを担当していた医師チームの1人である研修医の男性医師が、こんな言葉をかけたそうです。