著者のコラム一覧
佐々木常雄東京都立駒込病院名誉院長

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

認知症の母親に胃がんが発覚…それでも母は私の生きる希望

公開日: 更新日:

認知症の患者はがん治療しても意味がないのか

 65歳以上の方の7人に1人が認知症で、2025年には5人に1人になると推計されていると聞いています。オーストリアの精神科医、V・E・フランクルは「社会に役立つことが人間の存在を測ることのできる唯一の物差しではない」「人間の生命を生きる価値のない生命とみなして、その生きる権利を剥奪する権利はだれにもない」と言っています。

 そして、こう書いています。

「医者が任命されたのは、できる限り命を救い、できる限り助け、そしてもう治せないときには看護するためではなかったでしょうか。医者である限り、彼は不治といわれている、あるいは実際、不治である患者に生きる価値があるとかないとかについて、判断を下す権利はないのです。また、その権利があると思い上がっては決してならないのです」

 私から見て、母は心も体も苦痛があるようには見えません。きっと自分では何も分かっていないのです。それでも、母は私の生きる「希望」なのです。母には、このままでもいいから、認知症でいいから、ずっと生きていて欲しいのです。たとえ、母が私を誰だか分からなくなったとしても、ずっとずっと生きていて欲しいのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    菊川怜の元夫は会社が業績悪化、株価低迷で離婚とダブルで手痛い状況に…資産は400億円もない?

  2. 2

    粗製乱造のドラマ界は要リストラ!「坂の上の雲」「カムカムエヴリバディ」再放送を見て痛感

  3. 3

    ヤンキース、カブス、パドレスが佐々木朗希の「勝気な生意気根性」に付け入る…代理人はド軍との密約否定

  4. 4

    綾瀬はるか"深田恭子の悲劇"の二の舞か? 高畑充希&岡田将生の電撃婚で"ジェシーとの恋"は…

  5. 5

    斎藤元彦知事ヤバい体質また露呈! SNS戦略めぐる公選法違反「釈明の墓穴」…PR会社タダ働きでも消えない買収疑惑

  1. 6

    渡辺裕之さんにふりかかった「老年性うつ」の正体…死因への影響が報じられる

  2. 7

    水卜ちゃんも神田愛花も、小室瑛莉子も…情報番組MC女子アナ次々ダウンの複雑事情

  3. 8

    《小久保、阿部は納得できるのか》DeNA三浦監督の初受賞で球界最高栄誉「正力賞」に疑問噴出

  4. 9

    菊川怜は資産400億円経営者と7年で離婚…女優が成功者の「トロフィーワイフ」を演じきれない理由 夫婦問題評論家が解説

  5. 10

    火野正平さんが別れても不倫相手に恨まれなかったワケ 口説かれた女優が筆者に語った“納得の言動”