聞こえづらくなると心の視野が…宇崎竜童さん語る内耳破損
30代の前半に出演していた映画で、弾着(少量の火薬や血のりが設置された装置)をつけてピストルで撃たれるという役をやりました。打たれた瞬間、耳の近くで大きな破裂音がしたのですが、実はそのとき耳栓をしていなくて、じかに爆音を受けてしまったんです。
監督の「カット!」という声で立ち上がった瞬間、グラ~ンと世界が揺れました。それはそれまで体験したことのない大きな揺れで、「どうしたんだ、オレ?」という感じ。めまいはしばらくたって治まったのですが、それ以降、ずっと高音の耳鳴りが続きました。
町医者に行っても、検査もせずに「悪いところが分からない」と言う。少しそのまま様子を見てて、でもやっぱり治まらないので大きい病院に行って検査をしたら「内耳破損」と言われました。
僕は聴神経を「アンテナ」と呼んでいます。耳には何本かのアンテナが立っているのですが、僕の右耳は3本あるうちの1本のアンテナが倒れているということでした。
特に高音の周波数が聞こえない。うちの奥さん(阿木燿子)はファルセットで周波数が高い。だから声をかけられても、隣室にいるのか階段下にいるのか上にいるのかが分からない。顔が見えれば大丈夫なのですが、姿が見えずに声だけ聞こえると、うまく聞き取れません。