「変だ」と思ったら言ってくれる「チェッカー」を持とう!
最近、ある会社の「悲劇」を耳にした。その会社は創業者である夫と、70歳を過ぎて関与しはじめた妻が夫婦で経営していたのだが、数年前からそろって認知症の症状が表れはじめた。これまで一度も医者の診断を受けたことはない。現在、ともに87歳だが、物忘れがひどく、理解力の劣化も著しい。「3分ですむ報告、確認に3時間かかる」と社員は嘆く。その報告、確認もすぐに忘れてしまう。認知症特有の性格の先鋭化も進み、社員に対する罵倒は日常茶飯事、次第にブラック企業ぶりが目立ち始めているという。だが、2人には子どもはいないし、数年前まで会社に在籍していた親戚も退社した。それとなく認知症検査を勧めたことが2人の不興を買ったらしい。彼らには、「変」を指摘してくれる「チェッカー」がいないのだ。社員は気の毒としかいいようがない(もっとも、どこかの権力者のように「チェッカー」を敵視、排除する人間は多いのだが……)。
認知症がかなり進行してしまった状態ではむずかしいが、初期の段階においては子どもや家族が「チェッカー」となって「変」をサジェストすることは進行を抑えるために有効だ。もちろん、親が機嫌よく受け入れるために優しい表現方法が求められる。なによりも「迷惑だとは思っていない」を親にわかってもらいながら、諭すことが大事だ。親が「裸の王様」になる前に子どもがやれることはたくさんある。