薬によって排除は難しくても増殖を抑えて病気の発症を防ぐ
ウイルスは他の病原微生物(細菌やカビなど)と比べてとても小さく、宿主の細胞に侵入して増殖する(自らは増殖できない)ことが特徴です。
治療は主に薬で行いますが、宿主の免疫力によって、ウイルスが体に入った場合でもウイルスが増殖して症状が表れる前や短期間でやっつけてしまう場合もあります。つまり、薬で治療しなくても治ってしまうケースがあるのです。逆に、一度感染してしまうと体から出ていかない慢性の感染症になるものもあります。
ウイルスは、増殖する際に必要な遺伝情報として「DNA」か「RNA」のどちらかを用い、そのどちらを利用するかによって、大きく「DNAウイルス」と「RNAウイルス」の2種類に分類されます。
さらに細かく分類すると7つに分けられます。たとえば、コロナウイルスは「1本鎖プラス鎖RNAウイルス」、HIVウイルスは「1本鎖RNAウイルス(逆転写酵素あり)」……といったように、核酸の種類、本数、形状と増殖機構(逆転写酵素の有無)によって分類されます。
「逆転写酵素」というのは、RNAを宿主のDNAに組み込むための酵素です。RNAウイルスで逆転写酵素を持っているウイルスは、自身の遺伝情報を宿主のDNAに書き込むことで、ウイルスがずっと宿主の細胞に潜伏する慢性感染症になります。エイズの原因であるHIVウイルスがその例として挙げられます。