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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

ワッキーは中咽頭がん克服も 化学放射線療法の副作用とは

公開日: 更新日:

 感慨ひとしおだったと思います。お笑いコンビ「ペナルティ」のワッキーさん(48)が、中咽頭がんの治療に伴う休養を終え、仕事に復帰したと報じられました。テレビ番組の企画の打ち合わせに顔を出すと、参加を知らされていなかった相方は涙を流して復帰を喜び、本人ももらい泣きしたといいます。

 ワッキーさんに初期の中咽頭がんが見つかったのは昨年6月。手術はせず、放射線治療を受け、8月5日には退院。その後は、自宅療養を続けていたそうです。退院から6カ月余り。SNSでつぶやくことはあったものの、お笑いの仕事は控えていましたから、本人も周りも長い半年だったでしょう。

「中咽頭から首2カ所に転移していた。(中略)放射線の効き目を考慮してステージ1と診断されたが、『普通ならステージ3~4』と言われた」

 スポニチのインタビューにそう語っています。「転移があるのに、ステージ1って?」と思われる方もいるでしょう。理由をお話しします。

 鼻の奥から食道をつなぐ管である咽頭のがんの中でも、ちょうど口の奥の突き当たり周辺にできる中咽頭がんは、HPV感染の有無で、進行度が変わり、治療成績が左右されるのです。で、HPV感染があると、化学放射線療法がとても効きやすく、リンパ節転移が4個まではステージ1と診断されます。このような診断はほかになく、がんの中で唯一の例外。本人は「早期ではなかった」とおっしゃいますが、そんなことはありません。

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