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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

立川談笑は全摘も…超低&低リスク甲状腺がんは手術しない

公開日: 更新日:

 落語家にとって声は命です。甲状腺がんの摘出手術を受けた立川談笑さん(55)が高座に復帰されたのは何よりのニュースでしょう。

 肺の検診でたまたま甲状腺の腫瘍が見つかり、58ミリの大きさだったといいます。独演会後の取材に「声を失う覚悟もしていたので、本当にうれしい」と語ったことが報じられました。

 甲状腺は喉ぼとけの下にあり、ホルモンを分泌します。4~5センチほどの大きさながら、子供の頃は成長に関わり、成人してからは代謝を調節する重要な役割のホルモンです。

 そこにできるがんのうち9割は乳頭がんで、談笑さんもこのタイプ。ガイドラインでは、「超低リスク」「低リスク」「中リスク」「高リスク」に分かれます。談笑さんは「高リスク」で、①腫瘍径が4センチ超②腫瘍の浸潤が皮膜を覆う筋肉や脂肪を超える③3センチ超のリンパ節転移がある④遠隔転移がある、のいずれか1つ以上を満たすと診断されます。

 談笑さんは甲状腺の全摘とリンパ節を切除し、放射性ヨウ素内服療法を受けられたのでしょう。この全摘手術の合併症として、発声に関わる反回神経や上喉頭神経が損傷されやすく、嗄声(声のかすれ)が問題となることがあるのです。

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