コロナ後に「心不全死者4万人増」と学会が試算 心臓リハビリの重要性
血管の狭くなった部分を押し広げる治療として「ステント治療」がある。狭心症や心筋梗塞の治療に行うのだが、安定した狭心症でステント治療を受けた群と、心臓リハビリの群の予後を1年後に比較した研究では、心臓リハビリ群の方が心筋梗塞発症や狭心症の悪化などが少なかった。
「ステント治療群で予後が悪かった人では、ステント治療した以外の血管で動脈硬化が進行していました。心臓リハビリによって血管の内皮機能が改善し、血管の広がりが良くなる。それが、心臓の冠動脈硬化の進行を食い止めるのです」
ただし、心臓リハビリの恩恵を受けられている人はごく限られている。国内の報告では、心不全で入院・外来リハビリを受けている患者は7.3%。通院が大変、心臓リハビリを行っている施設が少ない、民間や自治体のフィットネスジムに心臓リハビリを行える指導士(心臓リハビリ指導士、理学療法士など)がいないなどの理由がある。
「さらに今回のコロナ禍で、全国で心臓リハビリが7割ほど中止に追い込まれました。日本心臓リハビリテーション学会の試算では、心不全だけでも入院患者が年間12万人増え、死亡者が4万人増えると指摘しています」