解熱鎮痛剤は正しく使わないと深刻な副作用が出るケースあり
NSAIDsには、胃潰瘍や十二指腸潰瘍といった消化管障害の副作用リスクが知られている。NSAIDsが産生を抑えるプロスタグランジンは、シクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素によってつくられていて、NSAIDsはCOXの働きを阻害して効果を発揮する。COXには内皮細胞を保護して粘膜を修復させる働きがあり、NSAIDsがそれを阻害してしまうため、消化管障害が起こるのだ。
「また、血管の内皮細胞の保護作用も抑制するため、インフルエンザなどのウイルス感染症で高熱が出て、脳の血管が炎症を起こしている時にNSAIDsを服用すると、血管の修復を阻害して脳血管に損傷を招き、脳症の悪化につながるのではないかと考えられています。そのため、厚労省は小児に多いインフルエンザ脳炎や脳症患者に対してNSAIDsの投与を禁忌としています」
新型コロナウイルス感染症でも、NSAIDsを服用すると症状を悪化させる可能性が指摘されている。まだ結論は出ていないが、新型コロナに限らず感染症によって発熱した場合は、使用に注意した方がいい。
もう一方の解熱鎮痛薬であるアセトアミノフェンは、脳の中枢神経や体温調節中枢に作用することで効果を出す。効き目が穏やかで体への負担や副作用も少ないため、子供や妊婦にも処方される。