中川恵一
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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

LUNA SEA河村隆一さんは肺活量を懸念…肺がん手術で「呼吸機能」はこう変わる

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 最近は、より小さなエリアで済む区域切除も注目されています。術後の呼吸機能の低下は、5~10%ほど。腫瘍の大きさが小さいほど術後の長期成績が良く、区域切除の対象となる腫瘍径3センチ未満のうち2センチ以下なら肺葉切除と同程度と報告されています。

 従って3センチ以上は肺葉切除です。

 肺の奥にできる腺がんに対し、気管支など肺の中心側に発生するのが扁平(へんぺい)上皮がんです。その場合、がんができた側の肺を全摘することも、なくはありません。その場合の呼吸機能低下は、右が55%、左が45%(肺は右の方が大きいため)。運動は難しく、日常生活も困難を来すため、なるべく片肺全摘は回避される方向に。それで行われるのが、化学放射線療法です。

 これらの数字で見て、気づかれた方もいるでしょう。呼吸機能を守るためにも、早期発見が大切だな、と。そう、その通りです。

 X線より高精度のCTですが、5ミリの肺がんを見つけるのはまず無理。早期の間に見つけるのは1~2センチの大きさを意味します。1センチの腫瘍が2センチになるまでの時間は、わずか1年ですから、チャンスはこの間のみ。1センチはX線でも確認できますから、毎年の検診がとても重要なのです。

 先ほど、肺葉切除はリンパ節の切除も行うと書きましたが、肺腺がんの放射線治療は、腫瘍への照射のみで、リンパ節へは照射しません。治療でがんへの免疫細胞の働きが正常化されるため、微小転移への攻撃が進むメリットもあります。呼吸機能を守りたい方は、早期発見と放射線治療を考慮すべきでしょう。

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