著者のコラム一覧
永田宏前長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

インドから東南アジアにB型が多いのはコレラが原因だった

公開日: 更新日:

 コレラと血液型の研究は1970年代に始まり、当初からO型が重症化しやすいことが指摘されてきました。決定的だったのは、91年にペルーで起きた流行です。このとき、69世帯463人を対象に血液型と重症化の関係が調べられ、O型は非O型と比べて入院リスクが8倍も高いことが示されました。また別の研究では、O型はコレラトキシンに対するワクチンも効きにくいことが明らかにされています。

 O型が重症化しやすい理由については、分子レベルで解明が進んでいます。腸の粘膜細胞には、血液型を決める物質(血液型糖鎖)がびっしりと植わっているのですが、コレラトキシンはO型物質を発現している細胞(つまりO型の人の腸管細胞)に、より強く作用することが証明されています。

 つまりインドから東南アジアの地域では、昔からマラリア、天然痘、コレラのせめぎ合いが続いてきたため、まずA型とAB型が淘汰され、O型とB型が拮抗するようになったと考えられるわけです。このように血液型の分布には、それぞれの地域の感染症の歴史が刻まれているのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  4. 4

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 5

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  1. 6

    桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」《麦巻さん》《鈴さん》に次ぐ愛されキャラは44歳朝ドラ女優の《青葉さん》

  2. 7

    江藤拓“年貢大臣”の永田町の評判はパワハラ気質の「困った人」…農水官僚に「このバカヤロー」と八つ当たり

  3. 8

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  4. 9

    西内まりや→引退、永野芽郁→映画公開…「ニコラ」出身女優2人についた“不条理な格差”

  5. 10

    遅すぎた江藤拓農相の“更迭”…噴飯言い訳に地元・宮崎もカンカン! 後任は小泉進次郎氏を起用ヘ