介護施設で大注目「Aiserv」排泄検知システムの仕組みと効果
介護施設のスタッフからは、「今よりもっと効率の良いオムツ交換の方法はないか」「夜間の定時交換で利用者の睡眠を妨げたくない」「オムツ交換の空振りを減らし、効率の良い介助がしたい」などの声が多く聞かれる。
そんな問題を解決しようと開発されたのが、産業設備メーカー・新東工業(名古屋市)が昨年1月から販売を開始した「Aiserv(アイサーブ)排泄(はいせつ)検知システム」だ。
体に着けるウエアラブルセンサーで、睡眠中、起きているときなど、高齢者の1日の排泄(便)をリアルタイムで通知してくれる。
どのようにして排泄を検知するのか。同社・アイサーブ事業グループの古川暁史グループマネジャーが言う。
「排泄検知システムは、臭いを検知する『排泄センサー』によって排泄をリアルタイムで検知します。センサー本体は、高さ65ミリ×幅50ミリ×厚さ13ミリの大きさで、使用時はオムツと同じ素材の不織布の袋に入れて、オムツの腹部内側に装着します。非接触で臭いを検知するセンサーなので、体(皮膚など)に負担をかけることなく便を検知できます」
介護施設の利用者に提供されるのは、排泄センサー本体とアプリがダウンロードされた表示端末(1人1セット)。センサーが排泄をキャッチしたら、ブルートゥースで接続された表示端末にデータが送られる。その表示端末から、Wi-Fiによって介護スタッフの持つスマホやタブレットなどの端末に音やバイブで通知される仕組みになっている。
そして、排泄が検知されると、介護スタッフの端末画面にうんち検出の確認ボタンが表示される。オムツ交換をして処置ボタンをタッチし、入力完了になるとニコニコ顔のマークが表示されて処置が終わったことが分かる。
排泄入力の画面には、便量、形状、尿量も記録できる。水分や投薬(下剤など)の入力もでき、過去のデータはいつでも遡って閲覧できる。これらのデータを排便コントロールに役立たせることもできるのだ。
では、オナラの臭いに誤反応してしまうことはないのか。
「便とオナラの区別は、100%ではありませんが感度調節でできるだけ空振りを減らすことができます。最初の約1カ月間は、便を5回程度確認し、その利用者に合った感度を調節します」
介護スタッフからは、皮膚トラブルや、ろう便行為の防止、排泄ケアの意識づけにつながったという声が届いているという。