70歳までに受けておきたい「3つの検査」 血管・脳・睡眠をチェック
③アミロイドPET検査
厚労省のデータによると、日本における65歳以上の認知症の患者数は約600万人(2020年)と推計され、25年には高齢者の5人に1人が認知症になると予測されている。
そうした認知症の7割を占めているのがアルツハイマー病で、現時点では根治薬がない。だからこそ、できる限り早期発見して対策を講じ、発症させない、あるいは進行させないことが重要になる。
そのための大きな武器になるのがアミロイドPET検査だ。
「アルツハイマー病の原因になるアミロイドβと呼ばれるタンパク質が、脳の中にどれくらい蓄積しているかを調べることができます」(アルツクリニック東京院長の新井平伊氏)
アミロイドβは、アルツハイマー病が発症する20~25年ほど前から蓄積し始める。さらにタウと呼ばれるタンパク質の蓄積も進んでいき、やがて神経細胞が壊れて脳が萎縮し、認知機能の低下が表れる。
「アルツハイマー病は脳ドックで使われるMRIで脳萎縮が見つかる段階からの対策では不十分で、脳萎縮が出てくる前に対策を講じたい。そのためにはいかに早くアミロイドβの蓄積を発見するかが重要なのです」
アミロイドPET検査では、アミロイドβに集まる性質がある薬剤を注射し、時間を置いてPETで脳を撮影する。すると、アミロイドβがたまっている部分が映し出される。
アミロイドβの蓄積が見られれば、認知症の発症に関係しているとのエビデンスがあるリスク因子を除外し、脳の健康を保つための運動や食事といった改善策を打てる。
現時点では保険適用外なため検査の費用は約30万~60万円前後と高額だが、毎年MRI検査を受けている人にはより有意義な将来への投資と考えてもいいだろう。