性感染症編(9)高齢者は性行為なしでも性器ヘルペスを発症する場合がある
病気は治療すれば必ず治ると思い込んでいる人がいる。しかし、治療しても体のどこかに病原体が潜み、加齢で免疫が低下すれば再発する病気もある。そのひとつが性感染症である性器ヘルペスだ。「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)の著者で日本性感染症学会の功労会員でもある「プライベートケアクリニック東京」の尾上泰彦院長に聞いた。
「性器ヘルペスは主に性的接触により単純ヘルペスウイルスが感染する性感染症のひとつです。性交後2~10日後に男性なら陰茎の亀頭、包皮など、女性は外陰部や子宮頚部などにかゆみや違和感をともなった直径1~2ミリの程度の水ぶくれや赤いただれが複数できます」
人によってはかゆみ、発熱、リンパ節の腫れなどの症状を伴う場合がある。水ぶくれは破れてびらんや潰瘍になる。
「ヘルペスウイルスは9種類発見されていて、性器ヘルペスの原因となるのは単純ヘルペスウイルス(HSV)です。このウイルスは2種類あり、1型は唇や目、手指など上半身に感染することが多い。一方、2型は性器や肛門周辺にできることが多い。ただし、そのすみ分けは厳密ではなく、唇や目などから性器ヘルペスが発見されることも少なくありません」