認知症は「外見」にあらわれるのは本当?論文でも報告あり
認知症になると表情が乏しくなるといわれます。中期には不安やうつ状態などの行動心理症状が進行し、物事へのやる気や興味が低下し、感情の起伏が少なくなるためです。認知症になれば見た目年齢も老けてきます。2020年には認知症が「外見」に表れる根拠として興味深い論文が発表されました。
東京大学医学部付属病院老年病科の亀山祐美助教らのグループの論文で、AIによって「認知機能が低下した患者と健常者の顔写真を見分けることができる」と結論付けられました。今後は写真の判別で認知症の早期発見が可能になっていくと考えられます。
先の東大グループも「見た目年齢が暦年齢よりも認知機能と強い相関を示す」と報告していますが、すでに、見た目年齢が余命、動脈硬化、骨粗しょう症の指標となることは複数の文献などで明らかになっています。
たとえば、09年に南デンマーク大学のKaare Christensen教授らが発表した論文では、「見た目年齢が老化の強力な指標になる」と結論付けられました。デンマークに住む70歳以上の同性の双子1826人を7年間追跡調査し、双子の実年齢が見た目年齢とかけ離れているほど、より年老いているほうが先に亡くなる可能性が高いこと、身体機能や認知機能、細胞の寿命に関係しているテロメア(染色体の末端粒子)の長さなどとの相関も認められました。見た目年齢が高いほど身体機能や認知機能が悪化し、加齢に伴って短縮するテロメアの長さも短くなると指摘されています。