地球温暖化の影響で人間の脳の機能は落ちていないのか
【Q】 酸素不足は脳の働きを悪くすると言います。ならば、高地に住んでいる人は平地に住んでいる人よりも勉強ができない、ということでしょうか? また、地球温暖化は二酸化炭素の排出量が増えた結果だと言われています。空気は酸素と二酸化炭素でできているのですから、温暖化が進むにつれて酸素不足に陥った人類は脳の機能が低下してバカになっているということでしょうか?
【A】 たしかに標高3000メートル以上の酸素の薄い山に登ると脳機能が低下しますが、標高2700メートルくらいの山では脳の機能は低下しません。人間の体は酸素が不足すると脳の血流を増やす機能が働き、酸素不足を補うからです。ただし、その能力には個人差があります。そのため一概にここまでなら大丈夫という境界線を定めることはできません。
なお、空気と脳の機能については二酸化炭素濃度が重要です。学校環境衛生基準で教室の二酸化炭素量濃度1500ppm以下を換気の基準にしているのはこのためです。気象庁が公表している温室効果ガス年報によると2020年は413.2±0.2ppmで、1750年に比べて149%も増えています。
本来なら脳の機能が落ちるはずの人類が高濃度の二酸化炭素の環境の中で高度な文明を築いていることは、人類が低酸素・高二酸化炭素濃度下でも脳機能が落ちない仕組みを手に入れているからなのかもしれません。
(弘邦医院・林雅之院長)