「肥満症」は治療が必要な病気 30年ぶりに新薬「セマグルチド」の承認が了承される
日本人を中心とした東アジア人の肥満症患者401例を対象にした最終段階の臨床試験では、週1回2.4ミリグラムの皮下注射で68週後には13.2%の体重減少を示し、20%以上減少した人もいた。しかしこれらは、病院で食事や運動についての指導を受けた上でのこと。
使用期間については、まだ決まっていない。
「臨床試験(前述)では68週だったので、それが継続・中止を判断するひとつの目安になるかもしれません。ただ、急に薬をやめたらリバウンドすることが臨床試験でも示されています。やめるとしても徐々にでしょう。ある程度長期にわたって使い続けるという選択肢もあると考えています」
■副作用の心配は?
今回、承認が了承されたセマグルチドは、食欲抑制作用のあるGLP-1受容体作動薬という薬だ。副作用として、悪心、嘔吐、下痢、便秘などが挙げられている。
「これは食欲抑制作用の裏返しと考えられます。満腹の時に脂っこいものを食べると胃がムカムカするでしょう。GLP-1受容体作動薬は薬の力で満腹のような状態にするので、それゆえに胃のムカムカなどが起こる。ただ、服用前の十分な説明で、患者さんの不安はかなり軽減される。使っているうちに胃のムカムカを感じなくなるケースも多い」