ドライアイの意外な原因は「水不足」ではない…実は「油分」不足だった
涙液の油層、水層、ムチン層が十分に分泌されてこそ涙液が安定し、しっかり角膜を守れる。言い換えると、どれかひとつでも量が少なくなれば、目の不快感や異物感、乾燥感、痛み、眼精疲労などのさまざまな症状が出てくる。よく知られる「ドライアイ」だ。
ドライアイは、涙腺から分泌される「水」の不足が原因と長らく考えられてきた。
「しかし、マイボーム腺機能不全による油の不足も大きく関わっていることが分かってきたのです」
ある報告では、ドライアイ全体のうち、油不足(涙液蒸発亢進型)が50%を占めるのに対し、水不足(涙液分泌減少型)は14%。油不足が水不足を大きく上回る。
ただ、油の分泌に対する治療法はなく、“水不足”への治療しか行われていなかった。水が潤えば、少ない油の量でも効率よく使えるので、症状は和らぐ。しかし根本的な解決にはなっていないので、完全に不調は取れない。また、治療をストップすれば、症状がぶり返す。
「それが、この10年でマイボーム腺機能不全に対してエビデンスが確立され、薬や治療機器が登場。マイボーム腺機能不全の根治も可能になってきたのです」