著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【ケジラミ】完全な剃毛は難しいためピレスロイド系駆虫薬を使う

公開日: 更新日:

 人に寄生するシラミは3種類います。前回のアタマジラミに続き、今回はケジラミについてお話しします。

 アタマジラミは主に子供の間でうつるのに対し、ケジラミは性感染症として知られていて、主に性行為によって感染します。主に陰毛の基部に寄生し、ほとんど移動することはありません。ただ、幼児の頭髪から見つかった例などもあり、陰毛の直接接触による感染だけでなく、寝具やタオルなどを介した間接的な感染もあると考えられています。

 一般的には感染から1~2カ月の潜伏期の後、激しいかゆみの症状が現れます。下着に黒っぽい点状のシミがつくこともありますが、これはケジラミの糞です。ケジラミは飢餓に弱く、人の体から離れると48時間程度しか生存できません。

 一番安価な治療法としては、感染部位の剃毛が挙げられます。しかし、肛門の周りなど完全に剃毛するのが難しいこともあり、多くの場合はアタマジラミと同様にピレスロイド系駆虫薬を使用します。

 発症は感染から1~2カ月後が多いため、この期間に性行為のあった相手のケジラミ感染の有無を調べることも重要です。また、性行為以外の感染もあるため、家族内の感染についても調べる必要があります。

 また、他の性感染症を取り上げた際にもお話ししたように、性感染症は他の性感染症との混合感染が非常に多くみられます。ケジラミにおいても同様のことがいえますので、梅毒やHIVなど他の性感染症についてもチェックしておくと安心です。

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