認知症最新研究 特定の「音」を聞かせて原因物質アミロイドβを減少させる
「結果、アミロイドβタンパクが有意に減少。空間記憶(認知機能低下で障害を受ける目的地へ向かう機能)が改善するという脳に好ましい変化が生じました」
■ヒト対象の実験では脳室の拡大が抑制された
では、人間では?
22年発表の研究では、DrTsaiは40ヘルツ周期の断続音・断続光を発するデバイスを開発。人間を対象に実験を行った。
「やはり人間の脳内でもガンマ波が発生。しかも、健常な若年層、健常な高齢層、軽度のアルツハイマー病患者いずれでも発生したのです。第Ⅱ相試験(2段階目の臨床試験)では、40ヘルツ周期の断続音と断続光で、脳室の拡大が抑制されているという結果が得られました。併せて脳室の斜め下にある海馬の萎縮の抑制も確認されました」
この研究を受けて、より実用的な音を開発したのが、日本の「塩野義製薬」と「ピクシーダストテクノロジーズ」だ。
実は、DrTsaiの研究では、被験者の3割が脱落。というのも、40ヘルツ周期の断続音・断続光は、耳も目も塞がれて1時間刺激を受けなくてはならず、音もパルス状で不快という背景があったからだ(ただし、重篤な有害事象は報告なし)。