子供の病気かと思ったら…「大人の中耳炎」には背後に深刻な病気が隠れている危険が

公開日: 更新日:

 30代の女性は、風邪をひいて鼻水の症状が長引いたものの徐々に軽快。その後、耳閉感と聞こえの悪さで耳鼻咽喉科を受診した。鼓膜の状態から滲出性中耳炎と診断され、さらに鼻腔内を内視鏡で見ると副鼻腔炎を起こしていたため、服薬治療を開始した。

「滲出性中耳炎の治療は、抗生物質や粘膜正常化剤などを用いて耳や鼻の粘膜の働きを改善させます。なかなか症状が改善しない場合には、鼓膜を切開し、中にたまった滲出液を抜く治療も行いますが、何度も再発する患者さんが少なくありません。繰り返すようであれば、鼓膜にチューブを挿入して滲出液がたまらないような手術も行っています」

■上咽頭がんが見つかるケースも

 大人の滲出性中耳炎の場合、見逃してはいけないのが「上咽頭がん」だ。上咽頭とは鼻の奥にある壁で、ここに腫瘍ができると耳管の入り口を塞ぎ、滲出液がたまりやすくなって滲出性中耳炎が起こりやすくなる。

「私が総合病院に勤務していた際に診た60代の男性は、耳閉感で来院されました。滲出性中耳炎と診断しましたが、問診で最近鼻血が出るというので上咽頭を見るために鼻からファイバースコープを挿入して確認したところ、上咽頭がんが見つかりました。がんの治療を行いながら、鼓膜を切開してたまった水を抜き、鼓膜に細いチューブを挿入して換気を行う滲出性中耳炎の治療を並行した結果、耳閉感の症状は改善されました」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高嶋ちさ子「暗号資産広告塔」報道ではがれ始めた”セレブ2世タレント”のメッキ

  2. 2

    フジテレビ「第三者委員会報告」に中居正広氏は戦々恐々か…相手女性との“同意の有無”は?

  3. 3

    大阪万博開幕まで2週間、パビリオン未完成で“見切り発車”へ…現場作業員が「絶対間に合わない」と断言

  4. 4

    兵庫県・斎藤元彦知事を追い詰めるTBS「報道特集」本気ジャーナリズムの真骨頂

  5. 5

    歌手・中孝介が銭湯で「やった」こと…不同意性行容疑で現行犯逮捕

  1. 6

    大友康平「HOUND DOG」45周年ライブで観客からヤジ! 同い年の仲良しサザン桑田佳祐と比較されがちなワケ

  2. 7

    冬ドラマを彩った女優たち…広瀬すず「別格の美しさ」、吉岡里帆「ほほ笑みの女優」、小芝風花「ジャポニズム女優」

  3. 8

    佐々木朗希の足を引っ張りかねない捕手問題…正妻スミスにはメジャー「ワーストクラス」の数字ずらり

  4. 9

    やなせたかし氏が「アンパンマン」で残した“遺産400億円”の行方

  5. 10

    別居から4年…宮沢りえが離婚発表「新たな気持ちで前進」