日本温泉科学会会長に聞いた…「温泉」はなぜ「腰痛」にいいのか
「水道水と温泉(炭酸温水)を比較すると、C線維の閾値上昇は温泉の方が水道水より上でした。閾値が大きいほど、痛みを感じにくいということになります。腰痛患者さんに炭酸温水入浴をしてもらった研究では、水道水では入浴前後の腰痛点数(数値が高いほど良好)が23.8から25.5への変化でしたが、炭酸温水では24.0から27.1へと変化し、温泉の方がより腰痛が和らぐという結果を得られました」
腰痛が和らいだのは、C線維の閾値が上がったのに加え、筋肉や腱が熱膨張して長さが伸び、緊張が低下したこと、筋緊張を高めるγ線維の活動の減少やα運動ニューロンの抑制も関係している。なお、クギを踏んづけた時のような鋭い痛みを感じる神経は体温が上昇しても敏感なままで変化しない。
最近注目されているのは、HSP70(ヒートショックプロテイン70)というタンパク質だ。
「種々のタンパク質を修復する働きがあります。このHSP70は温泉入浴などによる温熱刺激で誘導されることがわかっており、疲労後のリフレッシュに役立つ。それも腰痛改善につながるでしょう」