その瞬間に時間が止まりました…漫画家のやよいかめさん副鼻腔がんとの闘いを振り返る
いったん意識が落ちて再び気づいて、またナースコールを連打し、「センセイ!」と声を絞り出しました。やっと先生に診ていただいた結果、止血のために鼻に詰めていたガーゼの端が喉の方でヒラヒラし、息を吸うたびに喉に張り付いていたのです。処置をしてもらうとウソのように息が通り幸せな気持ちになりました。
あれから5年以上が経ち、今は寛解状態です。
副鼻腔がんは見つかりにくいので、見つかったときには目や脳に転移しているケースもある病気です。私は早く見つけられたので、寛解までたどりつくことができました。
人生まだまだ時間があると思っていたけれど、そうではないかもしれないと思えたことで、それまで休止していた作家活動を再開しました。趣味だったイラストを改めて勉強し、今は絵を生業にしています。巡り巡って、このたび中学校の美術の先生もやることになりました。
病気は怖いけれど、おびえて暮らすのはもったいない。今は半年に1回検診を受けながら、人生を楽しんでいます。
(聞き手=松永詠美子)