負担を減らす介護法「ユマニチュード」では相手にどう触れればいい?

公開日: 更新日:

 前回、認知症の方を介護する際に、人間らしさを尊重する「ユマニチュード」の4つの基本技術である「見る」「話す」を意識して行うと、相手に介護する側の思いが届いて介護の負担を減らせる可能性が高いとお話ししました。今回は「触れる」「立つ」についてお伝えします。

 着替えや入浴、歩行などの介助を行う際、介護者は必ず相手の体に「触れ」ています。無意識に行っている動作ですが、場合によっては相手の自由を奪う触れ方をしているケースも少なくありません。医療現場では痰(たん)の吸引を行う場面が多く、患者さんにとっては苦痛を伴う時間のひとつです。そのため、吸引時に頭や体を動かして抵抗する患者さんの体を押さえなければならない場面もあります。こうした押さえたり掴んだりする行為は相手にとって嫌な感覚として伝わりやすく、掴まれたら何か“怖い体験”が起こるという感情の記憶につながりやすくなります。広い面積で支え、相手が不安や恐怖を感じないような触れ方を意識する必要があるのです。

 以前、当院に入院されていた認知症のある患者さんは、入浴をかたくなに嫌がっていました。介護者は体を清潔に保ってほしい、心地よく過ごしてほしいとの思いから入浴介助を行いますが、それが本人にとっては強い恐怖体験につながっていたのです。不安を解消させられるよう、言葉がけを行いながら体に触れ、時には手をつなぎながら介助を行ったところ、スムーズな入浴ができるようになりました。相手に触れる際は顔など感覚が敏感な部位は避け、背中や上腕など比較的触れても抵抗がない部分を下から支えるように触れるといいといわれています。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動